”新しい小紋の愉しみ” 小紋屋 高田勝 ご紹介

染織めぐり ∼さんち・作家紹介∼

「細かく小さい」を追求する日本人

「『縮み』志向の日本人」という本では、「物を縮める」姿勢こそ日本人の特徴であると書かれています。

17文字の俳句
4畳半の茶室
幕の内弁当から
ステレオを縮めたウォークマンまで

ぎゅっとサイズを小さくしてしまう例はたくさん挙がります。

江戸小紋も日本人のそんな「微細に縮める」情熱が生んだ着物ではないでしょうか。

江戸時代、武士の裃として小紋が用いられたことによって発展する江戸小紋。参勤交代の際に区別できるように、各藩ごとの柄が生まれ極小化していきました。

職人たちが腕を競うことで「極小の芸術」といえる小紋が生まれていったのです。

庶民の間でも、度重なる「奢侈禁止令」へのアンチテーゼとして、一見無地に見えるほどの「小さな柄」を愉しむ小紋が普及していきました。

江戸小紋には「細やかな柄」を生み出す職人の情熱
そして細小な文様を愉しむ日本の文化が見て取れます。

今回はそんな江戸小紋を含めた『小紋』の分野で、新しい挑戦をし続けている「小紋屋 高田勝」さんのご紹介です。

小紋屋 高田勝

「着てたのしむのはもちろん
 見てたのしい小紋
 作り手、売り手も
 たのしめるもの創り」

小紋屋 高田勝HPより https://komon.net/

小紋屋 高田勝さんは本格江戸小紋から「遊び」柄小紋まで、たのしめるもの創りをしているメーカー。
朝ドラや映画の衣装提供もしています。

以下のようなブランドを展開しています。
クリックで高田勝さんHPの各ブランド紹介へ飛びます。

北斎文様
山東京伝
大正抒情
和染紅型
極型小紋
リバティプリント
東京染小紋
現代の遊び小紋

様々なジャンルで小紋の愉しみを追求しています。
「現代の遊び小紋」より一例を紹介。

タイトルが秀逸なこちらの小紋。
なんという柄かわかります・・?

正解は・・・

「現代の宝尽くし」

バッグや宝飾品のちりばめられた、まさに「現代の宝」ですね。
このような思わず笑ってしまう「みて楽しい小紋」
着姿となったときに、まわりの方を笑顔にする素敵な着物です。

遠目にはシマ柄に見えるこちらは「ねこの行列」
近づいて発見してしまったときの楽しさ、遠くから見たときとのギャップはまさに小紋ならではです。

このような小紋柄による「遊び」ですが、江戸時代にルーツのある日本の文化なのです。

北斎「新形小紋帳」200周年へ向けて

葛飾北斎は1824年に「新形小紋帳(しんがたこもんちょう)」とう小紋のオリジナルデザイン帳を発表しています。

北斎自らの手が書かれており、図案の割り出し方まで解説された、現在なお新鮮なデザイン帳です。

高田勝さんはこの「新形小紋帳」の原本を所蔵しており、こちらの図案を”今”の色彩に掛け合わせて染め出しています。

「北斎模様」ブランドは今まさに魅力的な世界観ではないでしょうか。江戸小紋を既にお持ちな方にも新鮮な着物。細かい柄行なので、無地感覚でコーディネイトしやすいのも良いです。

来年が数え年で200周年となる「新形小紋帳」
優れたデザインは古びず伝統となる例です。

北斎文様の帯も素敵です

そしてもうひとつ、忘れてはならないのが山東京伝(さんとうきょうでん)の発表した「小紋雅話(こもんがわ)」。

一説には写楽(しゃらく)ではと云われる京伝は、文学者としての天性と絵師としての才能を併せ持った江戸時代屈指の人物で、当時の世相を江戸小紋の文様に表現して江戸の町民の喝采を浴びました。その遊びの小紋を江戸の通人は紺屋(こうや)に染めさせ楽しんだと伝えられています

高田勝HP「山東京伝」 https://komon.net/brands/santohkyoden/

「現代の遊び小紋」のルーツがここにあります。
「口々小紋」「芝居の雪」など解説を読んでいるとクスッときてしまいます。時に風刺も交えながら、笑いを大切にした文化、粋です。

是非、高田勝さんのサイトをチェックしてみてください。

山東京伝ブランドの紹介はこちら

北斎の古びることないデザイン性
山東京伝の「しゃれ」「遊び」文化
江戸が生んだ大きな二つの潮流をくみ、現代小紋は面白くなっています。

栗山工房 別注品

高田勝さんのブランドで要注目なのが「栗山工房」さんとのパートナーシップ。
和染紅型を制作するこの関係は約30年にもなるそう。

高田勝さんによる栗山工房さん別注品。
その最大の特徴は「難しい生地」

「難しい生地」というのは、例えば表面の凹凸があるために染料が横に走りやすい生地や、伸縮率の関係で染上がりの生地幅が読みにくいものなど・・。染める側からするとなんとも無理難題のようではありますが・・・。(実際に一度帰ってきた生地もあったそうです)

染色作品の面白いところは、同じ技法・同じ色であったとしても「生地」が異なることで全く別物になるという点。

手染め工房さんがやりたがらないような生地を発注することで、魅力的な作品が出来上がっています。

東京染小紋

「東京染小紋」では、「東京染縁蓋小紋(とうきょうそめえんぶたこもん)」という国内唯一の工房で染められる技術を見ることができます。

目を引くこちら、東京染縁蓋小紋では柄の一部分ごとに「型置き+色つけ」を繰り返す、非常に手間のかかる工程で染められています。

部分ごとに様々な小紋柄が組み合わされ、反物のどこを見ても同じパターンの柄が無いという、なんとも贅沢なつくり。小紋柄の発展的な楽しみ方です。

友禅染ワークショップ付き展示会

様々な「小紋の愉しみ」を提案してくれる高田勝さんの企画展を開催します。

企画展『小紋屋 高田勝』

と き:
2022年9月3(土)・4(日)・5(月)
        
ところ:
きもの屋そねはら
長野県岡谷市南宮2-5-21

3日間は、栗山工房さんデザインのトートバッグに手染めする「友禅染ワークショップ」を開催いたしております。
お客様で色を選んでいただき、刷毛で染めていきます。
オリジナル配色のトートバッグを染めてみませんか。
是非、ご参加くださいませ。

ご予約・お問い合わせはお電話またはLINEからお待ちしております。

きもの屋そねはら:0266-22-4966
きものKUERHA:0266-75-2908

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