絵画を着る‐加賀友禅とはどんな着物か‣特徴紹介

加賀友禅 染織めぐり ∼さんち・作家紹介∼
加賀友禅

加賀友禅とは

「加賀友禅ってなんとなくわかるけど・・・」
「なぜあのような作風?」「京友禅との違いは?」「高い価格の理由は?」
そんな疑問にお答えできるよう、加賀友禅と京友禅の違いや加賀友禅を見るときのポイントなどに注目して解説していきます!

加賀友禅と京友禅の特徴を比較

同じ友禅染の技法ですが様々な違いがあります。
それぞれの友禅が生まれ育ってきた土地文化の違いを表しています。

華やかで公家文化な京友禅。
加賀百万石といわれる前田家の武家文化を反映した加賀友禅。

加賀友禅は落ち着いた気品のある文化を、自然をありのままに描こうとする姿勢によって表現しているといえます。

加賀友禅:作家/自然描写/写実的/加賀五彩のみ/武家文化
京友禅 :分業/花鳥風月/優美に鮮やかに/金彩や刺繍加工も/公家文化

加賀友禅に描かれているもの

次のような特徴から加賀友禅は絵画調といわれます。

①自然をありのままに描く(虫食い、先ぼかし)
②加賀五彩を基調とする(エンジ、黄土、藍、草、古代紫)
③ひとりの作家が図案、下絵、彩色を監修する
④加飾(金加工など)や他の染色方法(ろうけつ、しぼりなど)を用いない

加賀友禅は作家が主題を持ち、限られた技法で制作します。
装飾の美ではなく「ありのままの美」なので葉っぱに虫食いも描きます。
自然が朽ちていく様も含めて表現することによって時間の流れが感じられるようになっているのですね。

加賀友禅を選ぶときに見てほしいポイント

京友禅がそれぞれの制作工程に専門家がいる分業制であるのに対し
加賀友禅はひとりの作家が作品として工程を監修します。
さらに手書きの作品が大半なので制作は長時間となります。
価格の違いは制作に費やされた時間に依るところが大きいですね。

加賀友禅作家は7年以上の修行を経て加賀染振興協会に承認を得る必要があります。
品質管理のため作品には「落款(らっかん)」と「証紙」がつけられています。証紙の赤(下の画像)は手書き友禅を示し、紫は板場(型染め)です。証紙には 作家名と作品タイトルが表記されています。

自分の着物に絵画のようにタイトルがついていて、作者の意図や描かれている風景や季節感などに思いを馳せる・・・
そんなことができるのも加賀友禅の魅力のひとつです。