ろうけつ染作家 奥村右子さん
「実際に着て美しいキモノをつくりたい。」
奥村さんのこの言葉が印象的でした。
奥村右子(おくむらゆうこ)さんは京都のロウケツ染作家。
そのやわらかな色合いとモチーフが当店でも人気です。
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自然の中の工房
奥村さんの創作を知るために
2022年4月、工房を見学させていただきました。
工房は京都の北、賀茂川沿いを登っていった先の閑静な環境の中にあります。
自然に囲まれた環境での創作。
そこには自然と共存する大変さもあり・・・。
なんと、工房の素敵なお庭には
シカ、イノシシ、サルなどの野生動物が遊びにくるんだとか。
シーズンにはアジサイが綺麗に全部食べられてしまったこともあるそうです・・!
お庭の花をモチーフに
動物たちが集まってしまうのも納得の素敵なお庭。
(お庭の写真を撮り忘れた失態をお許しください)
創作の特徴にもなっているんです。
奥村右子さんは、ご自身で育てられた草花をモチーフとして絹の上に表現されてます。
愛着をもって育てた花を描く、ということ。
これは単にデザインとして花を描くのとは、事情が違ってきます。
そして、四季折々、日々の暮らしの喜びが創作に直結しているということです。
作品の細部から、その活き活きとしてた意匠に、表れてくるようです。
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奥村右子さんは旦那様も作家でいらして、モチーフは全く異なるものだったそうです。
旦那様が亡くなられた後も、しばらくはそのままの題材を描いていたそうなのですが、
「好きなものを描かないと続けていけない」
との思いから現在の作風、
ご自身の好きな草花を中心としたものに変えていったとのこと。
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ロウケツ染めの魅力
奥村右子さんは、ロウによって防染してハケで色を重ねていく「ろうけつ染」作家。
奥村さんにとってロウケツ染の魅力とは
「線が出ないことで花の陰影を表現できるから」
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友禅の場合、図案を糊で縁どって防染するため、糊の線が生まれます。
ろうけつ染では、防染したい部分に対して、「面」で蝋を置いていくため線が生まれません。
線がないことによる、モチーフと地色の緊張感
そこに生まれる陰影にこだわることによって、奥村さんの表現は生まれています。
近年では、ぬれがきを併用した作品も制作されています。
こちらもロウケツによるはっきりとした柄行と対照的なぬれがきの柔らかな色が相まって非常に素敵。
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ふり蝋(ろう吹雪、まき蝋とも)の作品も独自の世界観があります。
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13mをムラなく引き染めする技術も、京都では専門の職人がいるほど高い技術力が求められます。
奥村さんご自身で、色と地紋(皇室お印文)にこだわった色無地も魅力的です。
花に目覚めた理由
美しい花を描く奥村さんですが
花をモチーフにするきっかけをお伺いしました。
2つの影響があったそうです。
ひとつは奥村さんのお母様からの影響。
小さいころから一緒に京都の自然の中をあるき、花の名前を教えてもらっていたそう。
花をお好きになるのは、そういったお母様との関係からでした。
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そしてもうひとつは当店のある長野県から(!)
自然がお好きな奥村さんはお姉さまとよく蓼科にいらしていたのだとか。
「長野のかたはお庭に綺麗に花を咲かせますね」
と長野県の印象を語る奥村さん。
八ヶ岳山麓の花々がお好きで、株を持ち帰ってお庭に咲かせるほど。
自然への愛が作品に昇華されています。
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羽織・コート地としても人気な着尺。
製作現場のようす
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着尺(約13m)を張ることが出来る工房。
生地をピンと張ることは、染色の出来を左右します。これが力仕事でまた大変なのです。
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色ごとに分けられた鹿毛のハケ。
ロウを塗るのは豚毛のハケです。
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ろうけつは、全く防染するのではなく、ろうを薄く置いて色を淡く染めることもできます。
防染力・ねばりけをロウの配合で調節します。
着る人を美しく
着物の工芸的な側面ももちろん大事ですが、
何より着たひとが美しいものづくりをしたいと話す奥村右子さん。
工房ではろうけつ染体験なども実施しており
実際に着るきもの好きな方との接点を大切にしていらっしゃいます。
花を愛して自然の美しさを着る人に届ける奥村さんのキモノ、是非体験してみてください。
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奥村さん来場の展示会日程
作家展「奥村右子」 2022年 7月9(土)10(日) 11(月) きものKUREHA店内にて 長野県茅野市ちの3502-1ベルビア2F
ご予約・お問い合わせはお電話(0266-75-2908)
または公式LINEからお待ちしております。
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